2018.2.9

No.56 岡山県立大学大学院 藤井夏美さん

未来のクリエイター100人をご紹介!
56人目は、岡山県立大学大学院 デザイン学研究科の藤井夏美さんです。


【自己紹介】
大学ではテキスタイル作品を制作しており、特にパターンを制作している時が一番心が躍る瞬間である。学部生二年次では、テキスタイルパターンを描くことを仕事として決別するのではなく、私生活においても取り組みたいと考え、1日1枚必ずデザイン画を描いてきた。今では1000枚を越し、私の財産になっている。このデザイン画を基に制作した生地が、人にわたり実際に形を変えて服やカバンになっていくことが嬉しく感じる。現在は個展を開催、または展示に参加することでより多くの人に自分の作品を知ってもらうことを心がけている。



【目指すクリエイター像】
私の目指すクリエイター像とは、私の制作したモノで他の商品にはない新しく、楽しい体験をしてもらえるテキスタイルデザイナーになりたいと考える。私が普段制作しているものは、主にシルクスクリーンによるテキスタイル作品であるが、単に表面的な魅力のあるテキスタイル作品ではなく、実際に使用する時に二次的な動作(works1,2)を含むのも特徴の一つである。これは、大量生産大量消費の市場であるがゆえにモノを所有するだけという傾向に疑問をもち、私の作る作品で人それぞれのストーリーが見えてくることに重きをおいているからである。この「楽しい体験」の解釈とは、私の中で経験とともに更新されていくものであり、10年後、20年後もかわらず持ち続けたいテ ーマである。

 

作品と解説



『Transparent specimens』
筋肉を透明に、硬骨を赤紫に軟骨を青色に染上げる透明標本には科学的にとどまらない美しさがある。自然がもたらす造形美と人工的に作り出される配色は不思議な世界観を漂わせ、人の作為を通して完成する「命」の美しさを感じさせる。私はこの操作される命の美からインスパイアされてパターンを制作した。また、この「操作する」という動的な部分を作品に反映させるために、第三者に表層の柄を切ってもらう仕組みをつくりだした。表現方法は、シルクスクリーン技法を用いて3枚の布を重ねて刷ることで定着させている。これにより、人により切る部分と切らない部分ができ、柄が変化して見える。

 



『気包み』
私は、「包むものを選ばない」というところから風呂敷 は親しまれてきたモノだと考える。しかし、包むモノを選ばなくても、シーンによって風呂敷が選ばれてしまうことはある。そこで、日常的にシーンや人の気分によって変化する風呂敷を制作した。モチーフには、花言葉が「移り気」である紫陽花を選択した。その名の通り、人の気分により色を変化させていく様を、風呂敷を二枚重ね合わせることにより表現した。紫陽花の柄の部分はオパール加工を施したため、下の風呂敷を変えることで色が違う紫陽花になる。

 



『organism-nyoki nyoki-』
顕微鏡の中にいる生物の生きている音を想像しパターン制作を行った。

 
 

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