2014.11.17

学生アート支援プロジェクトAred代表 福田慎也さん

インタビューに応じてくれたのは…
東京工芸大学 芸術学部 デザイン学科 3年 福田慎也さん

今回は、東京工芸大学デザイン学科3年の福田慎也さんにお話を伺いました。
福田さんは、学生アート支援プロジェクトAred(アード)の代表として、美大生の作品をカフェやシェアオフィスに展示する支援を行っています。アートとヒトをつなぐ活動の中で得たもや将来についてお話いただきました!
 

Q.Aredの活動を始めたきっかけを教えてください。

はじめは、本当に友達の作品が好きで、こんないい作品なんだから、もっと多くの人に見せないともったいない、と思ったことがきっかけです。

そして、プロアマ関係なく様々な展示会に行き、とても感じたのは、美大生の多くは、高額の場所代を払って、展示をしているにもかかわらず、友達や親族しか呼ばない展示会が多い。それでは、作品に対する新しいフィードバックが生まれないし、構想も広がらないという悪循環に陥っていると思ったんです。

せっかく美大に入って、良い作品をつくっているのなら、自分がもっと色々な人に見てもらえる環境を作るから、芸術への興味を問わず、様々な人に芸術との繋がりを持ってもらえれば嬉しい、と思ったので、この活動を始め、芸術(Art)と種(seed)を合わせたAred(アード)という団体を作り、多くのフィールドに学生作品を発信する、活動を始めました。
 

Q.Aredの活動内容を教えてください。

「発信」と「吸収」の大きく分けて2つです。

「発信」は、新宿のノマドカフェ 「BASE POINT」さん、上野のシェアオフィス「いいオフィス」内で、美大生の様々な作品を展示します。作品と同時に学生の名刺やプロフィールも設置し、有効に作品を発信できるよう、お手伝いしています。

「吸収」では、「A会話」(えーかいわ)という活動をしています。Aは「Art」からきており、アートについてみんなでもっと話そうよ!とい交流会を企画運営しています。お互いに作品の評価をし合って、自分の作品を学内だけに留めたくない!色々な学生の作品を観たい!という美大生が、ポートフォリオなどを持ち寄り、交流をしています。否定をしないことを唯一のルールにして、コミュニケーションをはかって、新しいアイディアや情報を共有しています。
そろそろ就活も近くなってくるのでそんな話もできるよう企画の幅を待たせたいですね…笑
 

Q.Aredならではのエピソードを教えてください。

最近、展示中の作品がお客さんの目に止まりに実際に販売までこぎつけることができました。
他にもたまたまギャラリーの方がカフェに訪れて、アーティストさんや企画のことをお話に行ったりとやはりただの学生展示ではここまでないなと思う幅が広がってきてとても新鮮です。

絵を見たという方からのフィードバックはもちろんですし、大学内だけの活動だと普段アートと触れ合ったことの無い人が、こんなに身近にたくさんいた事実にも気づけませんでした。出展してくれるアーティストさんと作品を見てくれるお客さんにとって新しい発見に繋がっていることは本当に嬉しく活動の意義をいつも感じています。 

先日作品を買っていただいた社会人は、普段芸術に全く触れずに過ごしてきたそうですが、その絵を見て、初めて亡くなった友人のことを思い出し、とても感動してくれたので購入していただいたと後日連絡が来ました。また、購入した作品をこんな風に展示しました、と写真まで送ってくれたんです。

まさに、アートと社会の新しいつながりができ、その場を作れたと感じたので、本当にやりがいを感じとてもうれしかったです。


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Q.自分の将来、Aredとしての展望について教えてください。

僕は、自分の作品で社会を変えようとするよりも、誰かの思いの詰まった作品を、誰かのために届ける事が自分のやりたいことだと気付きました。Aredの活動では僕自身が作品をつくって発信することはありません。それは、自分より、いい作品を作れる人は本当にたくさんいるからです。自分はそんな人たちの二番煎じだとしても、仕組みを作ることが自分の一番の「発信すること」だと信じ活動をしています。ゆくゆくはなんらかのビジネスモデルを作りきちんと独立をしたいとも思っています。

でも、まずは、広告代理店のプロデューサーやアートディレクターやクリエイティブディレクターを目指し、いろんなことを吸収してからです。これも、発信できるスキルを持っている人と、何かを欲している人をつなげられる仕事と考えると、 Aredの活動に近いものを感じるからです。

就活を控え、これから忙しくなって来るかと思いますが、アートと人々がつながることによって、よりよい社会が作り出されるという考えは決して変わることがないので、これからもっとたくさんの場所で活動を続けていきたいと思います。

 

インタビューを終えて

美大生の作品発表に対して疑問を投げかけ、一般施設における展示という形で、新しい表現とコミュニケーションの場を作り上げた福田さんの行動力には、同じ学生としても頭が下がります。こうした活動の裏には、福田さん自身がアーティストとして作品をつくりながら、たくさんの芸術に魅せられてきた経験があり、双方の良さを知っているからこそ、社会に正しい伝え方ができるんだと思います。
これからも、美大生と社会のつなぎ手として頑張る福田さんのご活躍が楽しみです。
貴重なお話、ありがとうございました!

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